令和4年度の藤沢市文書館の収蔵資料展は、「江戸時代の長後地区―地域に伝えられた絵図・手紙から―」と題し、長後地区に伝えられた江戸時代の資料を紹介します。
 展示で取り扱う資料の多くは、『藤沢市史』の近世編発行以降(1974(昭和49)年)に発見されたことから、一部の資料を除き『藤沢市史資料所在目録稿』に掲載されるにとどまっておりました。
 昨年度『歴史をひもとく藤沢の資料6長後地区』を刊行するにあたり、長後地区に係わる資料を再整理したところ、江戸時代の長後地区の姿をうかがう資料を多数確認することができました。
 この展示は、それらの一部を市民の皆様にご紹介することを目的としております。
 資料からは、長後地区の耕作地は、田は境川や引地川の河川沿いと谷戸田に限られ、大部分が畑です。そのなかで、江戸幕府の定める年貢や役を領主に供出し、さらには領主の臨時の出費を支え、また戸塚宿の定助郷として東海道の交通を支えていた姿が伺えます。
 現代とは異なる長後地区の村々の様子や村人の暮らしを、資料の中から見出していただければ幸いです。
 最後になりましたが、長く伝えられた貴重な資料を当館に寄託・寄贈くださった資料所蔵者の皆様と、展示開催にご協力くださった皆様に心より感謝申し上げます。

2022年(令和4年)年11月
藤沢市文書館長