絵葉書

絵葉書とは何でしょう?

絵葉書とは、裏面に写真や絵を印刷した郵便はがきを指します。
明治末期から昭和初期にかけて、さまざまな絵葉書が大量に発行されました。

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明治33 年(1900)10 月、私製はがきの発行が許可されると、雑誌の付録などの形で絵葉書が発行されるようになりました。その後、明治35 年(1902)6 月には、逓信省が万国郵便連合加盟25周年記念の官製の絵葉書を発行して人気を集めました。特に、日露戦争戦勝記念官製絵葉書の発行で本格的な絵葉書ブームが到来し、次第に各地の名所や様々なイベント・行事などの記念絵葉書も発行されるようになりました。

藤沢市域でも、多くの絵葉書が作られました。そこからは、過去の様子や、景観の変遷について考える手がかりが多く得られます。
ただし、絵葉書に写された写真類は、いつ撮影されたものか、時期が特定できないものも多いため、絵葉書をよく観察して、写されている情報に注意する必要があります。


また、絵葉書によっては、白黒印刷した写真に彩色(さいしき)したものがあります。 絵の具の色は、空色・薄橙色・桜色・朱・黄・緑・紫などですが、絵葉書1枚に使われる色は、せいぜい5~6色です。空色や薄橙色はいわゆる「下彩色」と呼ばれる色です。 瓦・石段・遠い山々などは、うっすらと空色で下地を塗りますし、地面の陰影に薄橙色を塗ることによって、浮世離れした土地のイメージを作ることがあります。 しかし、人肌は彩色されずに残されますし、決まった色を除けば、残りの色は業者の裁量に任されます。


彩色は全て手作業であるため、厳密には全ての手彩色絵葉書は色が異なります。また、見た目にも一枚ごとに色が異なっている場合が多いです。


*参考文献:細馬宏通『絵葉書の時代』青土社、2006年


藤沢市文書館で所蔵する絵葉書

藤沢市文書館では、絵葉書はアルバムに収められています。それらは閲覧のご要望があれば、どなたでも閲覧可能です。 複写についても、ご相談に応じます。ただし、絵葉書の中には、使用にあたって、事前に許可を得ることが必要なものもありますから、ご注意をお願いいたします。 なお、資料の中には、現在では使われていない名称が記されているものもありますが、絵葉書がつくられた時代的背景を考え、そのまま紹介しています。


代表的な絵葉書

◎江の島

遠景で写したもの、桟橋、西浦、東浦から辺津宮・中津宮を経由し、奥津宮、稚児が淵から岩屋それぞれを写した絵葉書があります。形態は彩色のものと白黒のものがあります。



◎市内各地域

鵠沼地域では、鵠沼海岸での海水浴の写真などがあります。
片瀬地域では、龍口寺や、昭和初期に廃止された龍口園などの写真絵葉書があります。
辻堂地域では、名所絵葉書や辻堂演習場の写真絵葉書などがあります。
藤沢地域では、遊行寺(小栗判官の墓などを含む)などの写真絵葉書があります。



◎セットもの

数枚一組で封筒に収められたものです。戦前から江の島は鎌倉とセットになることが多く、鎌倉地域の主な寺社景観も写されています。
戦後ものでは江ノ島マリンランドの絵葉書などもあります。また、絵葉書のほか、10枚1セットのカード(カラー)もあります。


◎市外・県外

神奈川県内では、鎌倉・横浜・茅ヶ崎・大磯・横須賀・大山・箱根地域の写真絵葉書があります。 県外では、熱海や羽越線・瀬波温泉場(新潟県村上市)の絵葉書(白黒)などがあります。



◎画家などが描いたもの

白木屋の演劇絵葉書「江之嶋」、佐野梅渓(湘南中学校国語・漢文教諭)絵葉書、河上大二(洋画家、経済学者・河上肇の従弟)による鵠沼海水浴絵葉書、田口雅巳(日本画家)による絵葉書などがあります。


◎歴史もの

東郷神社絵葉書、日露戦争絵葉書、支那事変(日中戦争)絵葉書、大東亜戦争(アジア太平洋戦争)絵葉書などがあります。



◎その他

湘南台文化センターや藤沢ケーブルテレビなどの広告が入った絵葉書や、江ノ電開通80周年記念乗車券(絵葉書兼用)、横須賀市の浄楽寺の絵葉書、「モース博士と江の島」絵葉書、藤沢市太陽の家(心身障害者福祉センター)が発行した絵葉書などがあります。